誰にも言えなくて13


兄が迎えにくる夢を見た。


これは絶対に夢だ。




だって、兄が自ら車を運転してまで、信哉を迎えにくるはずがない。
ましてや、優しく抱きしめてくれるなんて、
間違ってもありえない。



だからきっとこれは、
兄のことを好きで好きで仕方がない、
信哉の願望が見せた、夢なのだ。







これが現実だったらいいのに・・・そう思って身じろげば、
傍にある身体が信哉を抱きしめる。



「ん・・・カズお兄ちゃん・・・??」

こんな風に、自分を抱きしめてくれるのはカズぐらいだから、
その名を口にしたのだけど。

しかし自分を抱くその腕は、抗議するようにピクリと動き、
信哉を抱き直すように力が込められる。


「ん・・・・・?」



だが、何かがいつもと違う。

その胸はカズのよりも広くて、
なぜだかすごく安心する香に包まれた。




甘えるように、その胸に顔を埋めれば、
髪をやわらかく撫でてくれる。


その、守られているような安心感に、
信哉の意識はまた、深い深い眠りに堕ちていった。








どのくらい眠っていたのか、朝日に照らされ少しずつ意識が覚醒していく。


でもおかしい。

いつもなら、タカの準備する、
美味しそうな朝食の香りで目が覚めるはずなのだ。

今、信哉の鼻をくすぐるのは、珈琲の独特な香り。

「ん・・・・」


丸まっていた身体を伸ばせば、
肌触りの良いシーツが信哉のスラリとした脚に絡みつく。

(あれ・・・?)


何かがおかしい。
明らかにいつもと違う。


小さい頃のような懐かしい、
アパートのごわっとした夏ふとんの感触ではなく、
極上の肌触りを追及したかのような感触に違和感を覚える。


その違和感に、ぱっちりと目を覚ました信哉は
まったく見覚えのない部屋にいた。


(あれ・・・?ここは・・・?)




「起きたか・・・」


「え・・・!?兄様・・・・!?」


兄の姿が目に入った途端、信哉の胸はどくんと大きく波打つ。



なぜ兄が自分の目の前にいるのだろうか。
あれは夢ではなかったのか。


どういう顔をしていいのか分からずに、
咄嗟にシーツの中に潜り込んでしまった。



何が起こったのか、記憶の整理がおいつかない。
シーツの中で必死に記憶をたどる。




カズ達と動物園に行こうとしていた。
こそへ突然、兄が来て、屋敷に連れ戻された。

屋敷の住人の針のような視線に晒されて、
泣きながら兄に嫌いだと何度も呟いた・・・様な気がする。


はやりあれは、夢ではなかったのだ。


シーツの中でぐるぐると考えていると、ずしりとマットレスが沈む。

「信哉・・・」




今まで何度も名前を呼ばれてきたが、
その声音は、今まで聞いたことがないくらい優しげだ。


「信哉、頼むから、出てきてくれないか・・・?」



優しく問いかける京一郎に、
これは本当に兄なのかと、そろそろとシーツの隙間から兄の様子を窺う。

京一郎も、どうしていいか分からないといったような、複雑な表情をしていた。

ただ何故か、
信哉を怖がらせないようにしようという気遣いが伝わってきた。





そろりと顔を出すと、京一郎がほっとしたように、信哉の髪をなでた。

その仕草に、ビクリと身体をこわばらせれば、
一瞬、京一郎に申し訳なさそうな、悲しげな表情が混ざったような気がした。



「あの・・・・」
「・・・ん?」


「ここは・・・どこですか?」

あの屋敷でないことは確かだ。


「カズお兄ちゃんたちは・・・」

カズの名前を出した途端、
優しかった京一郎の雰囲気が一気にむっつりとしたものに変わる。



「・・・ここは、たまに俺が使っているマンションの一つだ。
夕べ連れてきた。お前は・・・ぐっすり眠っていたからな覚えてないだろうけど」




サイドテーブルに置いてあった珈琲を信哉に渡す。
先程のいい香りは、兄が淹れてくれ珈琲のようだ。



そういえば、夕べも飲み物を用意してくれたことを思い出した。

結局口をつけることはなかったが、
でも薫りでわかる。

兄は以外と、飲み物を淹れるのは得意のようだ。




熱い珈琲をふぅふぅと冷ましていると、その口元を、
兄が優しげに、じっと見つめていることに気づく。

なんだか気恥ずかしくて、少しだけ顔を逸らした。




(・・・・ほんとに兄さんなのかな・・?)

兄ではない別な何者かが、兄に成りすましているとか・・・。

それとも、どこかに頭をぶつけたとか・・・・?

聞いたら怒られそうなことを考えながら、
淹れてもらった珈琲をすする。


それは、心にしみるくらい美味しかった。





「お前には、今日からここに住んでもらう」

「え?」


しばらく珈琲の風味を堪能していたが、
突然の言葉に、思わず京一郎を見つめてしまう。




「・・・夕べの・・・・みんなの反応を考えるとな。親父と話して、
お前はやっぱり、あの屋敷には居ない方がいいということになったんだ」




確かにそれが妙案かもしれない。


わかってはいるけれど、
改めて、あの屋敷にお前はいらないのだと、
京一郎の口から言われると、ズキリと胸が痛んだ。

(迎えにきてくれたのに・・・)

勝手に迎えにきおいて、
そして一晩たったらやっぱり出て行けなど、
勝手な話に腹が立つより悲しい気持ちになってくる。



でも、確かにあの屋敷にいるよりは、
ここに一人でいた方がマシかもしれない。



昔、働きづめの母の帰りを待っている間はずっと一人だった。

また、あの頃に戻るだけだ。


しゅんと俯く信哉の髪を、京一郎が再び優しく撫でる。




悲しい気持ちにさせておいて、
今更そんな風に優しくしないでほしい。



だが。


「もちろん、俺もここで暮らす。・・・保護者・・・も必要だしな。」

「え・・・?」


京一郎のその言葉に、
信哉の胸がぱぁっと明るくなる。


「ま・・・お前が、俺の顔を見たくないというのであれば話は別だが・・・。」



居ない方がいいだなんて思ってない。
むしろ信哉は兄に心惹かれているのだから。



昨日は、カズたちと引き離されたことに加え、
橘の家に戻ることに拒絶反応が出てしまい、
多少錯乱していたようだけど、
信哉は間違いなく、兄の京一郎の事が好きなのだ。




あんなに酷い仕打ちをたくさんされたのに、
何故、ここまで兄に惹かれるのか自分でもよく分からない。



孤独な時間が長すぎたせいか、
身体を繋いでいる間だけは、
自分という存在を必要とされているのだと
錯覚することができた。


酷い苛みだったとはいえ、
求められるごとに、信哉は実は安心していたのだ。


気がつけば、取り返しのつかないほどに、兄に惹かれていた。


でも兄への想いを口にすることはできない。

叶わぬ恋を忍びながら、恋焦がれる兄の傍にいることが
幸せなのか不幸なのか、まだ幼い信哉には分からない。



ただ、ずっと髪を撫で続ける兄の手は、
とても優しくて心地よい。



「・・・一緒に・・・・傍に・・・・いてほしいです・・・」


自分が今言える、精一杯の気持ちを、兄に伝えた。
だがそのとたん、急に兄は髪を撫でる手をピタリと止めてしまったのだ。


不安になり、兄の顔を窺うと、
逡巡している様子に、信哉はまた悲しい気持ちになってしまった。


一緒にいて欲しいと告げたのは、まずかったのだろうか。



だが、京一郎は突然ベッドから立ち上がると、
信哉の真正面に向き直った。



「お、お兄様・・・・?」


一体、どうしたのだろう。

京一郎の突然の態度に唖然としていると、
あろうとこか、京一郎はやにわに両膝をついたのだ。



「え・・・お兄様!?」


信哉は吃驚(きっきょう)のあまり、目を見張った。

なぜなら、その姿勢が意味するものは一つしかないからだ。




「や、やめて・・・兄様・・・・そんな・・・!」


京一郎はまっすぐ、信哉を見つめる。

そして、




「・・・・信哉・・・・すまなかった・・・!」

そう言って、深々と頭を下げたのだ。
あの兄が、信哉に謝罪をしているのだ。


「兄さんっ・・・!!やめてっ」


信哉の悲鳴のような声が上がる。


あの兄が、弟である自分に土下座するなんて。



いたたまれなくて、信哉もベッドから降りると床にペタリと座り込み、
下げられた京一郎の頭を必死にあげさせようとする。



「やだ・・・やめて兄さん・・・!僕、そんなことしてほしくないっ・・・!」

必死に京一郎の肩を揺さぶり、
土下座をやめさせようとする。



「卑怯だよ・・・こんなの・・・・っ」


信哉の瞳には、みるみる涙が溜まっていく。

優しい信哉がこんなことされて、許さない、なんて言えるはずがない。



「信哉・・・・」

そろそろと頭をあげる京一郎と、潤んだ信哉の瞳がかち合う。



「・・・・すまなかった・・・・信哉・・・・」
「・・・・っ」

「本当に・・・・・・すまなかった・・・・!」



信哉はポロポロと涙を零しながら、ふるふるとかぶりを振る。






「・・・・・・僕の方こそ・・・生まれてきて・・・ごめんなさい・・・・」

「信哉!!」


京一郎は声を荒げ、信哉の言葉を咎めた。
その顔は慙愧の念に満ちている。



「・・・あれは俺が悪い。絶対に言っちゃいけない言葉だったんだ。
考慮が足りなかった・・・・。本当にすまない!お前は何も悪くないんだ」


「・・・・・っ」


信哉は胸が詰まる思いだった。


謝罪されているのは自分の方なのに、
信哉のほうこそ、自分が許されたような気持ちになったのだ。


溢れる涙を手の甲で拭っていると、
その手を京一郎にすくい取られてしまった。



すると京一郎は、片方の膝だけ床から上げると、
片膝をついた姿勢になった。


そして、掴んだ信哉の手を、大事そうに包み込む。




そして――おもむろに手の甲に口づけを落としたのだ。



「・・・っ」



まるで王子様がお姫様にするような仕草に、
信哉の顔はみるみる赤く染まってゆく。


しばしの間、互いに見つめ合っていたが、
なんだか面映ゆくて、思わず視線を逸らしてしまう。


逸らした視線の先には、
今しがた京一郎の口づけを受けた手の甲があった。


京一郎の唇の柔らかさを思い出す。

手の甲だけじゃなくて、唇にもしてほしかった。
そんな風に思ってしまう、さもしい自分が恥ずかしい。


謝ってくれた上に、
こんな忠誠を誓うような真似ごとまでしてくれたのだ。
これ以上の高望みはしてはいけない。

これだけでも、十分に嬉しかった。




そんな幸せを噛みしめていると、
突然、顎をすくわれて上向かせられる。

驚いて兄の顔を見つめた途端、まさかのことが起きたのだ。





ゆっくりと京一郎の顔が近づき、そして――静かに唇が重なった。



「――っ!?」


思いがけない展開に信哉は固まってしまった。




初めて与えられた口づけに、
信哉は胸がいっぱいになる。





だが、触れるだけの簡単な口づけは、すぐに離れていった。





「信哉・・・」

信哉を呼ぶ声は、甘く掠れていて、
そしてその目には欲情の色が濃く映りはじめる。


瞬時にして、京一郎の纏う雰囲気が妖しく変化した。


「・・・なぁ・・・信哉・・・・」


顎に添えられたままの指が、
信哉の唇をなぞる。


京一郎の瞳に映る欲望の色が、更に深みを増した。





そして―――。




「・・・・信哉・・・お前を・・・愛してもいいか?」


「・・・・・・・え?」


一瞬、何を言われたのか、分からなかった。

理解したときにはもう、
ふわりと身体を抱き上げられ
ベッドに押し倒されてしまった。




「あ・・・あのっ・・・・あ・・・んっ」



信哉の返事は待たずして、再び京一郎に口づけを落とされる。

今度は食われそうな、深い深い口づけだった。








「ん・・・っ・・・やっ・・・」




上唇を、何度も柔らかく吸われ、そしてそろりと舌が差し込まれる。

ぐるりと口内をなんどか舐め回されると
信哉の舌に絡みつき、そして吸い上げられ
京一郎の口内に取り込まれてしまう。


「ん・・・っ」


唇も舌も京一郎に吸いつくされて、
信哉は何も考えられなくなっていく。

本郷の口づけとは比べものにならないくらいに気持ちがいい。


次第に信哉も、京一郎の真似をして、
慣れない仕草で兄の舌を吸い始める。




二人とも夢中で互いの唇を貪り合った。




口づけを交わしながらも、京一郎は器用に信哉の服を脱がせていき、
あっという間に信哉は全ての衣服をはぎとられてしまう。



「あっ・・・・」


唇は首筋から胸へと移動し、
そのピンク色の突起に吸いつく。

舌で転がされ、かるく甘噛みされれば痺れるように甘く疼いた。




「あん・・・・っ」


信哉の声も甘くなり、
京一郎は信哉の身体を、舌と唇で堪能していく。



肌と肌を、直に繋げたくなったのか、
京一郎は自ら衣服を脱ぎ捨て、鍛えられた姿態を堂々と晒す。


牡の魅力を纏う兄の身体に、信哉は思わず見惚れてしまった。


すでに兄の性器は、完全に上を向いていた。



「なんかヤらしいな・・・・」


互いに一糸纏わぬ姿で向き合うのは初めてだ。



京一郎は、己の勃起に手を添えて、信哉の猛りに擦りつけてきた。


「・・・やっ・・・」

ただでさえ、大きさも形もが違いすぎて恥ずかしい。


兄の先端が、信哉の陰茎を上下に行き来する、


「あっ・・・やぁ・・・」

兄も気持ちがいいのか、先端から蜜が溢れ、
さらに滑りが良くなっていく。


陰嚢、裏筋、カリの部分、余すことなく、
兄の亀頭に愛撫されていく。



「んっ・・・・・」


「・・・声、我慢しなくていいぜ?ここには俺達二人しかいないんだし・・・」

そう言って、京一郎は信哉のペニスに手を添えて、
亀頭同士をキスするようにくっつけた。



「あっ・・・」

そしてそのまま、信哉の方のペニスを動かし、
くるくると自分の亀頭に擦りつけていく。




「あっ・・・あぁん」


「・・・・・くっ」

敏感な先端同士が擦れあい、京一郎も感じているようで、
互いの蜜が混ざり合う。

不思議な弾力を持つモノ同士の擦れ合いに、
味わったことのない快感が生まれる。

「あっ・・あああっ・・・!!」



堪え性がなかった信哉は、あっけなく果ててしまった。


「・・・おいおい・・・信哉・・・」

「だって・・・だって・・・・!」



「・・・早すぎだろ・・・」

どうやら、京一郎は同時にイキたかったようだ。



「・・・っ!!・・・お兄様なんか・・・嫌いだっ・・・・!」

早いと言われたのがショックだった。
信哉はプイっとそっぽを向く。



なぜなら信哉は、
あれからずっと、誰ともこういった行為はしていないのだ。

もちろん一人でも。

それなのに、久々の刺激が、
いきなり性器の先端同士でくちゅくちゅし合うなんて。


そんなの気持ち良すぎるに決まっている。



「何、そんなに気持ちよかったの?」

「あ・・・!」

射精してちょっとだけ縮んだペニスを
ぷにぷにと突かれる。


「気持ちよかったからイッたんだよな?」
「・・・っ」


それでも、ぷんっ!と拗ねる信哉に京一郎は言葉を続ける。



「これくらいでイってどうすんだ。これからもっと気持ちいいことすんのに・・・」

「・・・っ」

その言葉に、信哉の身体は期待に疼く。



「信哉・・・二人で気持ちよくなろうな・・・・」


そんな風に優しく言われたら、
怒ったフリを続けるわけにはいかない。



信哉は、はにかみながら、うん、と頷いた。














*****


なんて初心で、なんて可愛い反応を見せるのだろう。


今から自分が与えようとしている快感を、
この子はどう受け止めるのだろう。



どうやって信哉を悦ばせようか、そればかり考える。


自分だけが満足する「処理」じゃなく、
信哉を感じさせてあげたい。


大事に抱いて、感じさせて、
恍惚としている信哉を想像しただけで胸が躍った。



抱く相手に、こんな気持ちになるのは初めてだった。





先に達してしまったことを、
バカにされたと思って拗ねる信哉は、それはそれは可愛いらしかった。


京一郎が信哉に口づけ、抱きしめると、
信哉もおずおずと京一郎の背中に腕をまわしてきた。



そしてそのまま、
互いに縺れ合いながら、シーツの上でキスを交わす。



「僕、お兄様を許すなんて・・・言ってないもん・・・」



キスの合間に吐かれる生意気な言葉も愛おしい。



「あいつらんとこに行ってからお前、生意気だぞ・・・
あいつらどういう躾をしたんだか・・・・」


「二人のこと、悪く言わないで・・・!」

あのアパートにいる間に覚えたのか、
ぷぅっと頬を膨らませる信哉は、小動物のように愛らしい。



あの二人の青年の肩を持つのは面白くないが、
信哉が自分の気持ちを、
顔や言葉できちんと表すことができるようになったのは
彼らのお陰のようだ。



(散々、嫌いとかも言われたが・・・・・)



「はいはい、もう他の男の話は無しだ」

「・・・お兄様が先に言っ・・・ん・・・・」


生意気な唇に、自分の唇で蓋をする。



「なぁ、信哉・・・人前とか・・・あの屋敷ならともかく
・・・その、お兄様ってのは・・・ここではおかしくないか?」



『お兄様と呼べ』


そう言ったのは自分なのだが。




だが今は、信哉が「お兄様」と呼ぶ度に、妙な焦りを覚える。

思えばそれは、信哉があの茶髪の青年を
「カズお兄ちゃん」と呼んでいるのを聞いてからだ。




「・・・え・・・でも・・・」


最初にそう命じたのはそっちだと言いたげな目が向けられる。




「妬いてんだ・・・!察しろよ・・・・!」

「・・・えっ・・・!」




自分で言って恥ずかしくなる。



10歳も下の弟への恋心を自覚して、
告白などして。

以前とは違う意味で、信哉を独り占めしたかった。


半分しかない血の繋がりは
恋人になりたいという思いに、気休め程度の言い訳になるが、


逆に「兄」でいたいという思いには不安を与える。


兄として、恋人として、
両方の立場を手にいれたいのだ。


どちらも誰にも渡す気は一切ない。



信哉は京一郎のものなのだ。





抱きしめ合い、直に触れている肌。
直に感じる信哉の鼓動に、愛しさが増していく。


「信哉・・・・愛してるよ・・・・」

「っ!!」





そして、京一郎は、
信哉へ心からの奉仕を開始した。
















「あっ、あっ、・・・ひうっ・・・」

信哉の口から、可愛らしい喘ぎ漏れる。




「いや・・・やだぁ・・・」

「やじゃないだろ・・・?」

可愛い信哉自身を咥えながら京一郎が喋る。



「んっ・・・!」


ワザとぴちゃぴちゃと音を立て、
時折、ぢゅるっと信哉の先走りを吸い上げる。


指と唇を駆使して、
これでもかという程信哉に快楽を送り込んだ。





信哉自身はぐっしょりと濡れて、
流れ落ちる蜜は、秘部をたっぷり潤すほどだ。

本来は慎ましげな入り口は、
すでに京一郎の指で溶かされてしまっている。



「あ・・・あん」



その溶けてしまっている部分に舌を這わせる。

指と共に舌を挿しこんで、さらに溶かそうと蠢かせば、
びくんと信哉の腰が跳ねた。




「きゃ・・・や・・・」

ぽろぽろと信哉の大きな瞳から涙がこぼれる。





「だめ・・・だめぇ・・・!」

中でで蠢く舌の感触に信哉は悶える。


「そ・・・それ・・・やだぁ・・・」


信哉が京一郎の髪を掴んで抗議するが、
お構いなしに舌で掻き回す。



「あっ、あっ、あっ・・・」


こんな愛撫は信哉にとっては初めてで、
おもわず自然に腰が揺れ始める。



「あ・・・兄さん・・・も・・・もう・・・」
「もう・・・何?」


信哉の腰の動きから、何を催促しているか分かっているが、
京一郎はわざと恍けてみせ、前立腺を指でぐっと刺激してやる。


「あっあぁんっ・・・・!」



信哉の先端は爆ぜ、中の粘膜があやしく指に絡みつく。



「うわ・・・すごく熱いよ、信哉・・・中ももうぐちゅぐちゅ・・・・」


熱くとろとろの粘膜に、
己の勃起を早く埋めていしまいたい衝動を必死に抑え、
指で中をいじり倒す。


放ったばかりにも関わらず、
信哉の雄芯はすぐに頭を擡げる。


「指っ・・やだ・・・・兄さんの・・・が、いい・・・」


信哉のおねだりを無視して、
再び舌を挿しこんで、さらに信哉を解してゆく。


硬い筋張った指と、柔らかい舌が同時に中で蠢くのは、
堪えようのないほどの快感を信哉にもたらすようだが、
欲しいものは別にあるようだ。


くねくねと腰をよじらせ、可愛く催促する。




「やぁっ・・・・・・もっと・・・おっきぃのがいいっ・・・おっきぃの・・・!」

「どこで覚えたんだそんなこと・・・」

「やぁ・・・じんじんするのっ・・・おっきぃので擦って・・・」


京一郎の喉がゴクリと鳴った。

ここまで焦らさせて溶かされたら、
熱くて硬い大きいものを欲するのは当然のことだ。



それは分かってはいるが、
信哉が可愛いからつい意地悪したくなる。



「ねぇ信哉・・・誰の何が欲しいの・・・・?」

京一郎の低い声に、
まるで、脳みそまで溶かされたかのような信哉には、
その言葉を口にするのに、もう、躊躇いはないようだ。



京一郎の首に、必死にしがみつき、
内緒話をするように耳元で訴える。




「・・・おにいちゃんの・・・おっきぃ・・・・・ん・・・が・・・欲しいのっ」

「・・・っ!!」

可愛い声で訴える。


「・・・おにいちゃん・・・挿れて・・・」



京一郎こそ、もう我慢できなかった。


無意識とはいえ、「おにいちゃん」なんて可愛く呼ばれて、
我慢なんてできるはずがない。






信哉の両手首を掴み、ベッドに張り付け、
その堂々たる猛りを、信哉の蕾に容赦なく一気に埋めた。

「あっ!あああっ・・・!」



挿れたとたんに信哉の前がはじけ、自らの腹を濡らしていく。

「どうした信哉・・・まだ挿れただけだぞ・・・?」



「あ・・・あぁ・・・」


ぎゅうっと食い締める信哉の中を、
京一郎は強引に抽挿を繰り返した。



「いや・・・やだ・・・動か・・・ないでっ・・・・」


「い〜や、動くね。だってお前を、感じさせたいから・・・」

「あっ、あぁ・・・・んっ・・・やぁっ・・・!」



イったばかりで敏感な信哉の肉筒をゆっくりと突いてやる。


大きなカリで敏感な襞をかき分けて進み、
信哉の感じる部分を的確に突きあげ、
そして、引き抜いてはまたと中へ突きいれる。


ゆっくり、じっくりと、それを何度も繰り返せば、
そのたびに信哉は淫らな声を上げた。


突けば突くほど、信哉の腰は甘く揺れて、
どんどん京一郎を飲みこんでいく。


とこんとん優しく、信哉をとろけさせたい。




「・・・やぁっ・・・や、やだぁ・・・」


自己満足な償いだと分かっているが、
どうしても信哉に尽くしたかった。


「なぁ信哉・・・さっき俺が・・・兄ちゃんが言ったこと覚えてるか?」


信哉はそれどろこではないようだ。
やまない腰に翻弄されている。


「さっき言ったろ・・・?お前を愛していいか?って・・・・」

信哉の瞳を見つめれば、愛おしさがこみ上げてくる。



「愛したいんだ・・・お前を全部。隅から隅まで・・・」

「あっ・・・あんっ・・・」


「だから愛させて・・・・お願いだから・・・」

「あっ、あっ!あっ!やっ・・・ああっ!!」


一層締め付けが強くなった信哉の中を、
強引に突き進んでは引いてやる。



「に・・・ぃ・・ちゃん・・・あっあっ」


信哉の瞳から涙がこぼれる。



ぐちゅぐちゅと泡立つ結合部は、
その熱で溶けて互いが混ざり合ってしまいそうだ。




夢中で、ひたすら信哉を突き上げる。




「い・・・ああああっ・・・・・・・」

「あ・・・くぅ・・・!!」

一際キツイ締め付けに、京一郎も持っていかれてしまい、
信哉の中に熱を放つ。

信哉の身体からは全ての力が抜け、そして意識を手放した。






京一郎は、汗で張り付く信哉の髪を梳いてやってから
己のものを抜いた。


信哉の秘口からどろりと京一郎の精液が零れ出る。

京一郎は、この光景を見るのが好きだ。



「俺はまだ、抱き足りないんだけどな・・・・」



瞳を閉じる信哉の額に、ちゅっと口づけをすると、
京一郎は信哉を起こさぬよう、
その目が再び開かれるまで、そっと抱き締めつづけた。




14へ

はい、数カ月ぶりの更新です。

すでに前回、何を書いたかを思い出せないレベルです(-_-;)

相変わらず、自分勝手な展開ですみません・・・・。
もうHシーンがマンネリ化しつつありますが、仕方がありません。
ええ、まぁこの程度ですわ。

これからもこんなもんですが、どうぞお付き合いくださいませ・・・てへっ♪



2012/04/21

2015/05 修正