誰にも言えなくて4


誰にも言えない。



あれから僕の身体は、毎日毎日、兄に無理矢理―――。


こんなこと、誰にも言えなくて。








「・・・橘・・・?大丈夫か・・・?」

心配そうに信哉の顔を窺うのは、クラスメイトの本郷だ。



他のクラスメイトは、信哉のことは遠巻きに見ているだけだが、
本郷だけは違っていた。

転校初日から、気さくに声をかけてくれる希少な人物だ。







信哉の身体は、昨夜も遅くまで兄に支配され続け、
抱かれた余韻が色濃くにじみ出ている。




ほっそりとした信哉の身体が、
気だるげな妖しい雰囲気をまとっていれば、
誰もが容易に、一種の卑猥な妄想を抱いてしまう。


そういう憶測を持たれていることを、
本人だけがまったく自覚がなかった。

「うん・・・大丈夫・・・・」

努めて作り出す笑顔は、
一瞬、周囲がシン・・・となるほどに異様な色気に満ちていた。



「・・・・・・エロい顔・・・」

「え?・・・なぁに?」

「やっ、なんでもない・・・!」


ぼそりとつぶやいた本郷の声は、
ざわつきを取り戻した周囲に吸い込まれたようだ。



それよりさ、
と本郷は、なんてことないような世間話を始めた。

つまらないわけでも、特別面白いわけでもないのに、
爽やかな本郷の声で綴られるそれらの話は、
なんとも心地よいもので、
気だるさが一気に吹き飛んでいくようだった。




きっと友達ってこういう感覚なのだろうか。

一方的に、友情めいた感情が芽生え、
本郷への気持ちが特別なものになっていく。


その名を心で呼ぶだけで、
信哉の心がじわりと温かくなっていくようだった。




とても優しくて強くて、かっこいい本郷。

行動力があって、みんなからも慕われていて、
同性でありながら、惹かれるには十分な魅力に満ちていた。


憧れてやまない。



学校にいる間だけが、
唯一心安らげるのは、本郷がいてくれるからだ。

兄の酷い苛みを、ひと時でも忘れられるから。




本郷だけが、今の信哉の心の支えだった。




















「ほら信哉、お兄様のお帰りだぞ〜。
コイツが汚れたから、お前の口でキレイにしてもらおうと思ってな」


出先から帰宅した京一郎は、真っ先に信哉の部屋へ訪れた。



キレイにしろとは、もちろん、
毎晩信哉を犯している京一郎の性器のことだ。


企業の企画したパーティーに参加していたのか、
京一郎からはアルコールの匂いがする。

酔っている時の京一郎は、特に性質(たち)が悪い。
これまでにも何度か味わってきた。



「ほら、信哉はコレ、大好きだろ?いつもコレでイキまくりだもんなぁ」


卑下た笑いを浮かべながら、京一郎は自分で下着ごと脱ぎ捨て、
己の猛りを信哉の目の前に晒す。



「ほら、咥えろ・・・、キレイにしろよ・・・」

「うっ・・・」

猛ったものを、強引に口内にねじ込まれ、信哉は呻いた。
だが。



「っ!!?」

「はは・・・気づいたか?」



いつもと違う味に戸惑いを覚える。



「どうだ、分かるか?これが女の味だぜ?」


クスクスと小馬鹿にしたような笑いが下りてくる。




「さっき女に使ったんだ。
お前も嫌だろ?だから、しっかり舐めてキレイにしろよ・・・」


これをさせたいが為に、女性との行為の後、
あえてシャワーを浴びなかったようだ。



京一郎の猛りを口から出そうとすれば、
頭を掴まれ、さらに喉の奥まで突っ込まれる。
やめることは許されないらしい。






(助けて・・・本郷くん・・・・!)



なぜか本郷が自分を助けてくれそうな気がして、
心の中で必至に助けを求めた。



でも、そんなものが届くはずなどない。

この広大な屋敷に、
信哉に救いの手を差し伸べるものは一切存在しないのだ。




兄の、どくどくと脈打つ猛りに、舌と喉を使って必死に奉仕する。


ぴちゃぴちゃと音をたてて、
知り尽くした兄のポイントを絶妙に攻めていく。



慣れない女の味を舐めとっていく。


次第に自らの唾液と、
京一郎の先張りでびしょびしょになり、
女の匂いは完全に消えた。






「・・・今日の女、よがりまくってさぁ。ほんとお前とは大違いだったぜ。」

「・・・・・」

何を言われても、信哉は黙って必死に奉仕する。

こういうときは、
黙って奉仕に専念するのが一番だと分かっているのだ。



「本当は感じまくっているくせに、
声を必死で押し殺す誰かさんとは違って、すげー可愛かったよ」

「・・・・・」

京一郎の長い指が、信哉の髪を弄ぶように梳いていく。



「ほら、さっさとオレのをキレイにしてイカセろよ。
そしたらちゃんとコレ突っ込んでやるからよ」


このまま、この赤黒い凶器を噛み千切ってしまいたい衝動にかられる。



でも、そんなことをする度胸などない。



「そうだ・・・お前、フェラしながら、今、自分で解せよ」



「・・・そんなっ・・・!」

兄を受け入れる準備はすでにできている。
もう解す必要などないと、そう告げようとしたのだが。


「誰がフェラ止めていいっつったよ?」
「うぐっ・・・!」


口を外せば、
再び京一郎の猛りをねじ込まれ、その質量にえづいてしまう。


実際、信哉のそこは、兄が行為を求めてきたとき、
すぐにでも受け入れられるように、ジェルでたっぷり潤っているのだ。


それが兄の命令だからだ。


だが京一郎は、
奉仕をしながら自分の尻をいじる信哉を見たいらしい。


とんだ羞恥プレイを、強いようとしているのである。



「お前はただ俺の命令きいてりゃいいんだよ。」


腰を前後に動かし、熱い杭が信哉の口内を出入りし、
唾液が伝い落ちる。


「・・・・っ・・・」


ポロポロと、信哉の瞳から零れ落ちた涙は、
毛足の長い絨毯に吸い込まれ、跡すら残らない。


信哉は必至で舌をうごめかし、
片手でなんとか履いているものを脱いだが、
そこはなんとも恥ずかしいことになっていた。



「ははっ・・・アニキのチンコ舐めて、なに自分のも勃ててんだよ」


京一郎が揶揄する通り、信哉自身も明かな反応を見せていた。



「まぁ待て。コレが欲しけりゃ、ほら、さっさと自分でいじれよ」


言われるまま、
兄の勃起にむしゃぶりつきながら、
指を1本、蕾へと挿入する。


「ふ・・・・」

すでに柔らかいそこは、簡単に指が入ってしまう。


兄によって、男を受け入れる器官へと変えられたそこは、
指一本ではすぐに物足りなくなる。


指を3本に増やして出し挿れすれば、
くちゅくちゅといやらしい音が響いた。


そしてその行為を、当の兄本人に見られていると思うと、
途端に堪らない気持ちが込み上げた。


そして今、口に含んでいるこの猛りが、
これから自分を突き上げるのだと思った瞬間。


「っ・・・!」


信哉の先端が思わず爆ぜてしまったのだ。



「・・・おい・・・・、誰が勝手にイッていいっつったよ!!」

「かはっ・・・!」


怒りを孕んだ声が、不覚にも達してしまった信哉を咎め、
その猛りは信哉の喉の奥を突き上げた。




口内から性器が引き抜かれ、
ゲホゲホとむせる信哉を、京一郎は容赦なくベッドへと突き飛ばす。





「あ・・・!ごめ・・・ごめ・・・さい・・・お兄様・・・・っ!」

「・・・この淫乱が・・・!」

「あうっ!!」

脚を大きく広げられ、
その中央に京一郎はなんの躊躇もなく自らの猛りを潜り込ませていく。



「あ・・・、−−−っ!!・・んっ・・・!」


幾度となく京一郎を飲み込み続けてきた信哉の蕾は、
京一郎の侵入を、いとも簡単に許してしまう。

待ちかねたように、
その硬質な熱を離すまいと嬉々として絡みつく。




「はは・・・いつも旨そうに食うよなぁ、お前・・・」


ぺろりと舌なめずりして、
ぐちゅぐちゅと掻きまわし、腰を進め、信哉の中を犯していく。



蹂躙する熱に、
信哉はなぜか、安堵の溜息を漏らした。


「・・・やっぱお前の中は最高だ・・・今まで抱いた中でも格別だ・・・」

「−−ぁっ・・・!」


必死で声を抑える。
熱い猛りで、激しく摩擦される快感は壮絶なものだ。



でも。



「ほんとに・・・可愛げねぇなぁ・・・。たまにはいい声聞かせろよ。」



いやらしい音とともに激しい律動が繰り返される。
スピードを上げられ、目も眩むほどの快楽が信哉の身体を蝕む。


「っ・・・、―――っ!」




声を殺すために手の甲を噛む。


血が滲んだが、
それでも絶対、声を出すわけにはいかなかった。

声を出さないことが、信哉にとっての唯一の抵抗だった。




「ま・・・いいぜぇ。そのうち、いい声で啼かせてやるからよ。」


脚を肩まで高く抱えあげられ、
上から打ち付けるように激しく出し入れされ、激しい音が響く。




「ひっ!―――っ・・・!――っ!!」

自ら手の甲を痛めての必死の抵抗も、
無意味になってしまいそうな快感が信哉を襲う。

激しい肌のぶつかり合いに、ベッドも激しく軋む。




「すげぇ・・・ぎゅうぎゅうに絡みついてくる・・・。
そんなに気持ちいいのかよ?」

気持ちいいなんて言葉で表現できるような、生易しいもんじゃない。

我を忘れてしまいそうな、どろどろと渦巻くような、
このまま、身体ごと溶けて、
シーツにしみ込んでいってしまいそうな・・・・・そんな、壮絶な快感。





度を超す快楽は、ある種の脅迫で。


イヤ・・・!

イヤだ・・・・!


助けて・・・助けて・・・・本郷くん・・・・!!!




心の絶叫は、誰にも届かない。



心の支えがあれば、どんなことにも耐えられると思っていたのに。



激しい快楽がこれほど苦痛だなんて知らなかった。



しかもその相手が、半分とはいえ、
血の繋がっている実の兄だという事実。

でもその禁忌が、
どうしようもないほどの悦楽をもたらしているということも
紛れもない事実なのだ。




そんな罪悪感に苛まれながら、
声を押し殺し、激しい快感を必至で堪え続けた。


5へ

とりあえず、今回はここまで。

久しぶりの更新でした★本当にね、言葉を知らないことが悔やまれます。
豊かな表現の言葉って、どうやって勉強したらいいんでしょうね(-_-;)


2010/02/10
2015/05 修正