誰にも言えなくて8

喉が張り付く。
極度の緊張と恐怖が、信哉を支配していく。
震えが、止まらない。



コッ・・・・と、京一郎の靴音が、信哉へと近づく。


「どういうことだ?信哉」

「・・・・にぃ・・・・あう!」



信哉の胸ぐらを掴み、苦しさに悶えてもその手を緩めてはくれない。

「あ・・うっ・・・苦・・・・し・・・・」



ぎりぎりと首を絞められる感覚に気が遠くなりそうになる。


「どういうことなんだ、信哉」

静かな口調であるからこそ、
滲み出る怒りがひしひしと伝わり、
信哉の怯えは、限界を迎えそうになる。





「あ・・・・・・・・ぐっ・・・・」
「まあいい、お前の身体自身に聞いてやる」





「・・・・・・来い・・・・・」
「ゴホッ・・・!ゴホッ・・・!」




細い信哉の細い腕を掴み、足がもつれて上手く歩けない信哉を、
強引に京一郎の部屋のバスルームへと引きずって行く。





「痛いっ・・・・・!兄・・・様っ!・・・・あっ!」

扉を乱暴に開け、
信哉はバスルームの中へと突き飛ばされ、壁に叩きつけられる。




「脱げ・・・・」
「・・・・っ」

「脱げと言っている」


「・・・・・・・はい・・・・・・・」



言われるままに、シャツのボタンをはずそうとするが、指が思うように動かない。



「何どんくせぇことしてんだよ。さっさと脱げ!」


「あっ!」

バシン!と、乾いた音がバスルームに響く。



「ご・・・ごめ・・・さい・・・」

じわりと涙が浮かぶ。

久々に頬を張られたショックのせいか、
必死に指を動かすが、焦って想うように動かない。



「・・・いや、いい。・・・・たまには俺が脱がすってのもいいかもな。」

「あっ・・・・!」


京一郎は信哉の手を払うと、
面白そうにひとつひとつボタンをはずしていく。




口調もいつもの京一郎だ。
さっきの、久世たちに対する別人のような京一郎ではない。

いつもの口の悪い横柄な京一郎だ。


そのことに、心のどこかででほっとするものの、
いまから行われるであろうことに恐怖するばかりだ。


もしかしたら、こんな風に頬を張られるだけじゃなくて、
本当に死んでしまいそうなほどの、壮絶な制裁を与えられるかもしれない。




信哉の震えは止まらなかった。









ボタンが全て外され、信哉の胸の突起があらわになった。


「ああ、そういや久世が何か言ってたな。なに、乳首が弱いんだって?」

「あっ・・・」

きゅ・・・と、つままれると、じんとしたしびれが走り、びくんと震える。


こねまわしたり、引っ掻いたりするたびに、信哉はびくびくと跳ね、
信哉の下半身も反応をみせる。


「・・・・へぇ・・・・」

「・・・・っ!」


「そんな反応・・・あいつらに見せたわけか・・・・」


京一郎は、みるみる凍えるような怒りのオーラを纏っていく。


「この・・・・・淫乱が・・・・・!俺だけじゃ満足できなかったのか?」

「あっ!」

床に押し倒され、
強引に信哉のズボンを下着ごと脱がせ、脚を左右に大きく開かせた。


「やっ・・・やだっ・・・・・!見ないでっ」



信哉の秘部からは、
本郷の放ったものがドロリと出てくる。


「・・・・・・くそっ・・・・!」

それを見た、端正な京一郎の顔が怒りに歪む。

京一郎は、いきなり信哉の秘部にシャワーをあて指を強引にねじ込み、
本郷の放ったものを掻き出し始めた。


「いや・・・っ」


温度設定がしてあるとはいえ、
出始めの水のような冷たい刺激に、
信哉の勃起は一瞬萎えかけたが、

掻き出すようにばらばらと動かされる指が、
ときおり信哉の敏感な部分へと触れ、
だんだん暖かくなるシャワーの心地よさと相まって、
どんどん信哉に快感を与えていく。


だが、結構な量の本郷の精液に
だんだん京一郎の表情が険しくなっていく。



「痛っ・・・・・!」



指の動きは乱暴になる。

だが、乱暴になればなるほど、
まるで京一郎が、嫉妬しているようだと、錯覚してしまいそうになる。


そんなこと、あるわけないのに。

京一郎はただ、憎い信哉を徹底的に虐めぬきたいだけなのだ。
自分の玩具が他人に穢されて怒っているに過ぎない。


信哉の心は、どんどん傷付いていく。




本郷の放ったものはほとんど掻き出され、シャワーと一緒に排水溝に流されていく。



それを認めると、京一郎は、おもむろに自分の性器を取り出した。

それはすでに怖いくらいに勃起していて、何の躊躇もなく一気に信哉を貫いた。


「あっ・・・ああっ・・!」



不覚にもすでに本郷の侵入を許していたそこは、
とろとろに溶けていて、
待ち望んでいたかのように、挿ってきた京一郎の凶器に絡みつく。



指とは比べ物にならない長大な熱の塊が、信哉を犯していく。



(あ・・・・・兄さん・・・だ・・・・・。兄さんが・・・挿って・・・くる・・・・・)


そう想った瞬間、信哉の瞳から、涙がこぼれた。



本郷のではなく、今信哉の中にるのは間違いなく兄京一郎の熱だ。

本郷に犯された絶望感が、
みるみる歓喜に塗り替えられていく。



兄による支配にこそ、自分は満たされるのだ。


(ああ、そうか・・・。僕は・・・・。)




とうとう気づいてしまった。
心の奥底に仕舞われていた本当の気持ちに。


信哉の中は逃がさんとばかりに、きゅうっ、と京一郎を締め付ける。


「あっ!・・・・あっ・・・・・!」

「・・・そうなんだよな、お前、あいつにもその声を聞かせたんだよな」



京一郎の動きは激しくなり、背中にあたる大理石が痛みを与えるが、
それ以上に送られてくる快楽は大きい。


動きは信哉を責めるように、どんどん激しさを増していく。

激しい快楽に、信哉はとっさに手の甲を噛んだ。


途端に京一郎の表情がさらに険しくなる。


意地でも京一郎の前で、
声を抑えようとする信哉のその行動は、
さらに、京一郎の怒りに火をつけてしまったようだ。



「なんだよ・・・さっき散々やりまくって喘いだんだろ!?ここでも声出せよ・・・!」

「・・・っ・・・ん」


噛む歯に力が入る。




「しかもそんな姿をカメラに取られるとか・・・!
この恥さらしの淫売が!俺の足をひっぱるようなマネしやがって・・・」

「・・・・・っ・・・!」

激しく腰を使われて、信哉の背中がのけ反る。



「それともなんだ、人に見られて興奮でもしたのか?」

もうやめてほしかった。


これ以上、兄の口から、
冷たい言葉を聞くのは辛かった。


「・・・こんな足手纏いになるなんて、
やっぱりお前なんか引き取ったのは間違いだったんだ・・・。
だから俺は反対したっていうのにっ・・・」




兄からの容赦のない罵りに、
信哉の心はどんどん傷だらけになっていく。



「・・・なんだよ・・・・そんな風に泣くくらいなら、
なにがなんでも親父の申し出なんて断ればよかったんだ!
最初からこの家に来なければよかったんだ!
なんでお前はここにいるんだ・・・!お前なんかいない方がいいに決まってるだろ!」



悲しくて、切なくて、涙が止まらない。

そして―――。









「そもそも、お前なんか生まれてこなければ・・・・っ」

「―――っ!!!!」

信哉の目が大きく見開かれた。





「・・・・っ、・・・・くそっ・・・!」

信哉の凍り付いた表情に一瞬ハッとし、言葉に詰まったが、
京一郎は信哉を嬲ることをやめなかった。






『お前なんか生まれてこなければ』

辛辣な言葉が、信哉の心に激しく深く突き刺さった。







それは、信哉本人が何度も思ったことだった。

何度も何度も、
生まれてきたことを後悔した。



でもそれは、産んでくれた母を否定することになるから、
封印していた気持ちだったのだ。



自分を身ごもらなければ、
母はこの橘家から追い出されることはなかったかもしれない。


財産目当てだと、家族から見放されることはなかったかもしれない。


自分が生まれたから、
母は苦労して・・・・そして死んだんだ。





僕さえ・・・いなければ・・・・。
お母さんはもっと長生きして、
奥様も・・・兄さんもきっと、今よりずっと笑っていて、
みんな幸せたったのかもしれない。


僕さえいなければ、全てが順調だったんだ・・・。



信哉は悲しくて悲しくて、ただ悲しかった。



兄のことを好きだと自覚したとたんに、
恐れていたその言葉を、京一郎の口から聞かされて、
胸が張り裂けそうだった。


存在を否定されるほど、京一郎から憎まれているなんて。



もう誰も、愛してはくれないのだ。



涙が、止まらなかった。

信哉の大きな瞳から、ポロポロと涙が溢れ出る。


「・・・・信哉・・・っ」

やりきれない表情を浮かべる京一郎の顔は、
涙の滲んだ信哉の瞳には映らない。







何を泣くことがあるのか。

わかっていたことではないか。

だってあの日に悟ったはずだった。
どんな目に遭っても、傷つかないと。


幸せになることを、諦めたはずだ。



涙は、ポロポロと頬を伝い続ける。






信哉の中で、何かが、壊れた。





もういいよ。
もう知らない。

僕なんて、めちゃくちゃになればいい。


めちゃくちゃにされて、死んでしまえばいいのに。



いままで味わってきた、ツラい記憶を
もうこの快楽に身を委ねて、何もかも忘れてしまえばいい。



兄の言うように、
淫乱なら淫乱らしく、セックスに没頭すればいい。



淫乱なのだから快楽に素直になればいい。



声を抑えることも、やめればいい。
そんなささやかな抵抗なんて、意味がないことだと分かった。




「あっ、あっ・・・・・・あんっ・・・・」


素直に快楽に身を任せ、腰を揺らし、信哉は甘く啼きはじめた。



その変化に気づいた京一郎は、射精を促す動きに変わり、
どんどんスピードを上げ、信哉の性感帯を突き上げる。


「あっ!あっ!ああぁ!」


「・・・くっ!」

京一郎のモノがひときわ大きく膨らみ、二人同時に果て、
信哉の中にじわりと滾ったものが注がれる。

京一郎は一度、猛りを信哉から引き抜いた。
ずるりと出ていく感触すら感じてしまう。


「あ・・・・・」

熱が出ていったあとの蕾が、惜しむようにキュンとヒクつくと、
京一郎が今放ったものがトロリと零れ出した。

その光景を京一郎が満足げに見下ろす。



「ふふん・・・いい眺めだな。・・・・・・来い」



腕を掴み、再び京一郎は信哉を引きずっていく。
向かった先は京一郎のベッドだ。



ここで抱かれるのは、初めて犯されたあの時以来だ。

ベッドに転がされ、
上から京一郎が覆いかぶさってくる。



「他のやつが、もう二度と、お前に種付けしないように躾けないとなぁ。」

「んっ・・・」

京一郎の手が、腹や脇腹を、す・・・と撫でまわす。



「お前が、俺以外のやつを咥え込まないようにするにはどうするか?」

京一郎の目に、今まで以上に欲情の色が混ざる。


そして、壮絶に男前な顔が近づき、耳元で囁いた。


「他の男としたいって思わないくらい、俺がお前を気持ちよくさせてやりゃいいんだよな」

「あっ!」



そう言って、かぷりと信哉の耳タブに軽く噛みつく。


「や・・・・!」

「へぇ・・・耳も弱いのか。今までは、誰が愛撫なんてしてやるかと思ってたけど・・・・」


ふ・・・と息を吹きかけ、かるく耳たぶを嬲られれば、
くすぐったいような気持ちいいような、ぞくぞくとした快感がせり上がってくる。



「んっ・・・・・!」


「そりゃあなぁ、突っ込まれるだけじゃつまんないもんな、お前、淫乱なわけだし」
「やぁ・・・・っ」



ちゅ・・・と、胸の突起を口に含めば、ビクンと身体が跳ねた。



「信哉・・・・・いい声で啼けよ」


そう言って、口の端を上げてニヤリと笑う兄の妖艶な表情に、
信哉の奥がズクンと疼いた。












「やっ・・・・!ああっ・・・あっ・・・!」

今までとは、まるで違う抱き方に翻弄される。


胸の突起をいじられ、そして下の秘口には、
赤黒くぬめった兄の熱棒がいやらしく抽挿を繰り返していた。



されていることは本郷の時と同じでも、
得られる快感がまったく違いすぎた。



「あっ、あっ、あっ・・・やぁっ・・・・!」

兄の巧みすぎるやり方に、もう何も考えられない。


以前のように、この気持ちよさを我慢する必要もないから、
信哉は遠慮なく甘い声を上げる。



「あん、やっ・・・・そこ・・・・ああっ」


ひと際反応のよかった部分を激しく突かれる。



「あっ、あっ、あっ・・あんっ」



(・・・気持ちいい・・・)



快楽故の生理的な涙が頬を伝う。

今までの、ただ貫かれるだけのセックスとは違うのだ。



胸に、耳に、瞼に、時折、唇が下りてきては
妖しく愛撫されていく。



それでもやはり、信哉の唇には下りてはこなかった。
信哉には、それがとても悲しかった。




京一郎は信哉の反応を見ながら、敏感な部分を攻めてくる。

胸の突起に愛撫を仕掛けられるたびに、
信哉は京一郎をぎゅっと締めつけてしまう。



ピンク色のそれは、ほんのり紅くなりぷっくりと膨れて、
その突起を京一郎が指ぴんと弾くと、激しい快感をが突き抜けた。




「やん・・・やぁっ・・・あん・・・っ!」



指で押しつぶし、指を離せば、またぷくっとせり上がってくる。


「可愛いな、おまえのここ」



指で弱い突起部分を徹底的にいじり倒されたかと思えば、
不意に京一郎の口内へと含まれる。



ちゅっと何度も吸い上げ、舌でころころと転がし、
時折歯で軽く噛まれると、ひときわ大きな痺れが下半身に突きぬけ、
信哉の性器はだらだらと甘い蜜を漏らす。


「おい、お前のココ、気持ち良さそうにぱくぱくしてるぞ」

そう言って、その蜜をこぼしている信哉の先端の割れ目に軽く爪を這わせる。



「あああっ!!」

ぴゅっと、白い体液が飛び散った。
その部分へと、ターゲットが移っていく。


信哉の性器は、まだ綺麗な色ですべすべしていて、
誰にも使ったのとのないピュアなものだ。



半分だけ剥けてる皮を下にきゅっとずらすと、
びくんと大きくのけぞり、どんどん蜜が溢れてくる。


「ひうっ!・・・やああ・・・んっ・・・・!」

「おいおい信哉、濡らしすぎだぞ・・・」



京一郎の手は、信哉の体液でびしょ濡れだ。



「ひっ・・やぁ・・・も・・・・ひっく・・・・」

「なんだ・・・泣くほど気持ちがいいのか?」

「ひあっ!あっ!あっ!」




信哉の反応に気をよくしてか、さらに愛撫を続けていく。



「あ、そうだ・・・・いいモンがあるぜ」


不敵ながらも、妖艶な笑みを浮かべる京一郎に、
信哉の下腹部は期待にさらに硬度を増していく。


着ているスーツの胸ポケットから、ペンを取り出した。



「ひっ・・・・やっ・・・なにするの・・・ああ!!」



カチッとペンの先端を出すと、それをあろうことか信哉の尿道へと差し込んだ。



「ひああっ・・・やっ・・・やあっ!」

ペン先が、信哉の排泄しか知らなかった先端の穴を犯していく。



チクチクと差し込まれ、掻きまわされれば、
痛みと快感がないまぜになり、
信哉の腰は一段と激しく揺れ、さらに高い悲鳴を上げる。


尿道はペン先に抉られ、
蕾には京一郎の猛りが刺さったままだ。


排泄用の二つの穴を同時に犯され、
今までに味わったことのない快感に襲われて、
甘い声を上げることしかできない。


硬質なそれが出入りを繰り返せば、激しい悦楽をもたらし、
とうとう信哉の性器は快楽に屈し、爆ぜてしまう。



「・・・お前よぉ・・・尿道をこんなもんに抉られてもイクのかよ・・・
ほんっとに好きもんだよなぁ・・・呆れるよ・・・」


でもそんな侮蔑な言葉だってもうどうでもよかった。





「にい・・・さ・・・・も・・・・ああっ」


信哉は自ら腰を動かした。




「も・・・ご・・・いてっ・・・」

「・・・あ?なんだって?」


「う・・・動いてっ・・・・」



そのおねだりに、
いつの間にか腰が止まっていることに京一郎は気付いた。
信哉のそこをいじるのに夢中になりすぎていたようだ。



止まった兄の熱が、自分のいいところにあたるように、自ら必死に動かすが、
なかなか上手くいかなくて、じれったさを覚える。


ぐねぐねと腰をうごめかせ、痛いような気持ちいいような。
どろどろに溶けてしまいそうな快楽に、信哉はどんどん貪欲になっていく。


一生懸命、自ら快感を得ようと、拙い動きで腰をくねらせる。


「そうだよ、信哉。お前をここまで気持ちよくしてやれるのは俺だけなんだ」



「やぁっ・・・・動いて・・・!」

ひくひくと収縮し、信哉の秘部も、摩擦を催促する。


その入り口の疼きを、指でなぞられると、
信哉の中は、きゅんと京一郎を締め付けるのだ。




「ほんとに、どれだけお前は淫乱なんだ・・・・」

京一郎が信哉を突き上げる。


「いやあっ・・・いっ・・・・あっあっ!」


でももうそんな言葉は気にしない。
否定だってしない。



すごく気持ちよくて、死んでしまいそう。






激しく貫かれ、信哉はあられもなく喘ぐ。


もしかしたら、外に声が漏れているかもしれない。
いや、絶対に漏れてるに違いない。



淫乱の息子が、今度は長男をたらしこんだと
瞬く間に屋敷中に広がるだろう。

でも、もういいのだ。


なぜなら、信哉は覚悟を決めたから。




信哉は地獄に堕ちていくように、その快楽に身を任せた。




9へ

はぁはぁ・・・・。

相変わらず、イタい仕上がりになっております。
ご都合主義な展開に愛想尽かされてることは承知の上です。いえい!!

「念願の尿道プレイを書くことができたぞ!!!
」いやいや、尿道プレイ・・・。

腐女子が一度は憧れたり憧れなかったりするアレですが。
まぁ、私のは緩い感じに仕上がってますが。

何気に長い連載になっているのにびっくりです。
これからも、このヘタレ小説に付き合ってくださいませ!



2010/12/23

2015/05 修正