リーンの話




「いや・・・・っ・・・イヤですっ・・・リーン様・・・・」

この声はいつも俺を拒む。



決して俺を受け入れることはない。





「なぜだ?フゥ・・・気持ちいいだろう・・・」

「やっ・・・やぁ・・・!」





すべすべとした無毛地帯に息づいているその場所を、
こんなにも丁寧に愛撫してあげているというのに、一体何が不満なのか。





まだまだ子供な小さな性器を手で包み込み、上下に動かせば気持ちよさげ身体をよじるのに、
出てくる言葉は否定ばかり。



気に入らない。



ただ気に入らなくて、俺はさらに、巧みな愛撫でこの少年を追い詰める。
一度口に含み、唾液で潤いをあたえ、滑らかになったそこへ指をからませる。




小さな性器が震え、そして、フゥの身体が大きく痙攣する。


「あっ!あああっ!ああっ!」


まだ、精を吐き出すことのできない身体は、まだ快感の余韻にひくひくと小さく震える。



「どうだ、フゥ・・・」


「・・・・・ひどい・・・リーン様・・・。」
「・・・・・・」




大きな目に涙を浮かべて非難じみた目で俺を見る。




どうして。




フゥは俺を拒絶する。
・・・フゥだけが、俺を拒む。



その瞳は、俺を不安にさせるには十分すぎて。


・・・・・心が重くなる。







こんな時、ビューイ兄さんが恋しくなる。



俺が一番安らげる存在。
俺が唯一、甘えられる人。



ビューイ兄さんの前だけは、まるで子供のようにいられる。





昔、母様が亡くなったとき、いつまでも泣いている俺を、ビューイ兄さんだけが、怒ることなく 
俺が落ち着くまで包みこんでくれた。












アーニィ兄さんは、母様が亡くなってしまったのに悲しくないの?

あれは母が亡くなった時。




最愛のはずの母が亡くなったというのに、王位を継承し、たんたんと政務をこなす長兄が大嫌いで。


最愛の母が亡くなった悲しみから立ち直れない俺を、恥だと言われたことも悲しくて。





今思えば、厳しさを教えようとした、長兄なりの愛なのだけれど。
当時、母の死と、長兄への不信感で不安定だった俺はビューイ兄さんを困らせた。
それでも優しく諭してくれて。







「お願いリーン・・・もう泣かないで・・・?」
いつものやわらかい声。



本当は、ビューイ兄さんだって辛いはずなのに。


長兄とは違う強さを持つビューイ兄さんに、俺はとても依存していて、兄さんのしてくれることが、
俺にとっては全てだった。







「リーン・・・。僕が、リーンの涙を止めてあげるね。」
だから、そう言って、ふいに抱きしめられたときも、当たり前のように素直に受け入れることができた。








涙を吸い取っていく兄さんの唇がくすぐったくて、思わず くすっと笑ってしまって。

「やっと笑った・・・リーン」







ほわりとほほ笑む兄さん。


・・・・・・・・兄さんはとても綺麗だ。
俺は、兄さんの顔がとても好きで・・・。





その顔を見つめていたかったけど、でもなぜか、閉じなきゃいけないようか気がして、そっと目を閉じた。




それを合図に。






ちゅっ・・・ちゅっ・・・・と、たくさんキスが降ってくる。


頬に、目に、耳に、鼻に・・・・、


そして・・・


「ん・・・」


唇にも。




「・・・・あっ」

吸われた下唇に驚いて、そう声が漏れたとき、ちゅるりと兄さんの舌が入ってきた。



俺の舌を吸うように・・・今 思えば口内の愛撫だが、当時何も知らない俺は、ただ気持ちがよくて・・・。



「アレイがね、教えてくれたんだよ・・・」


きっと、扉の奥で控えているであろう男をの名を口にするとき、兄さんはとても幸せそうな顔をする。



その男のお陰で、きっと前向きに生きる決心ができたのだろう。



俺にも・・・そんな人が現れるのだろうか?
親族以外に、自分にとてつもなく影響をあたえるほどの人間が。





「あっ・・・やっ・・・・!なに・・・・?それ・・・・」


不意に意外な場所へと唇を落とされて、我にかえる。



今まで排泄にしか使用したことのない器官が、兄さんの口の中へ吸い込まれる。





「ああん・・・やっ・・・・」


どうしてそういうことをするのか分からなかったけど、その意味は知らなかったけど。


・・・初めて、・・・気持ちいいという感覚を知った瞬間だった。




兄さんの舌は容赦なく幼い俺自身を攻め立てて、俺はただただ快感にあえぐしかできなくて。

「あっ・・・やっ・・・兄さん・・・なんかっ変っ・・・!なんか・・・出ちゃうよ・・・・!」
不意に排泄感に覚え、そう訴えるのに、兄さんはさらに器用に舌を動かしてきて。


 
ナニかを剥くような動きと感触に俺は・・・。





「あっ・・・・あーーっ・・・んっ・・・!」







勢いよく、俺の先端から、尿ではない別のものが飛び出す。




初めての、射精だった。






だけど、その余韻に浸る余裕もなく、兄さんは とんでもないところへと舌を這わせてきて・・・。

もうひとつの、排泄に使う場所。


「や・・イヤ・・・・」




どうして?



そこへ、さっき俺が出してしまったものを塗りこめている。





「いやっ・・・兄さん・・・気持ち悪い・・・・」



入り込んでくる舌が排泄感に似ていて、逃げようとするけれど、それを兄さんは許さなかった。


「だめ、リーン。じっとしてて・・・・?」





「・・・や・・・・・・・・・・・・っ・・・うん・・・・」


兄さんの言うことは絶対だから。
俺は、解きほぐすような動きを繰り返す舌にただただ耐えるだけ。












俺はただ・・・兄さんに集中した。











出入りしていたはずの舌は、いつの間にか指へと変わり、そしてそれは3本に増え、


いつしか俺の声も、苦痛による呻きではなく、男を煽る色を孕んだ声へと変化していったようで。








「あっ・・・・あっ・・・・ん・・・」


「リーン・・・」



指で掻きまわせば、くちゅっ・・・くちゅっ・・・と音がして、目を合わせれば再びキスの雨が降ってくる。




 


「あん・・・兄さん・・・・なんか・・・へんな感じ・・・・」
「くすっ・・・どうしたの?なにが変なの?」


分かっているくせに・・・!


イジワルっぽく笑う兄さんは、きっと分かっている。





この、自分では消化しきれない、くすぶった感覚を。




きっと自分も、こんな風にアレイにいじわるされているんだ。





「やぁ・・・にいさんっ・・・変なの・・・!でも・・・どうしていいか・・・わかんない・・・」



「・・・どうして?」



「どうして・・・って・・・・ああっ!・・・そこっ・・やっ・・・やああっ!!」


「ふふふ・・・どうしてヤなの?」





「ああっ、あっ、あっ・・・やぁ・・・分かんないぃ・・・!どうにか・・・してぇ・・・!」


「・・・どうしてほしい・・・?」





もう・・・っ、兄さんっ・・・・・!





「・・・っ・・・だからっ・・・わかんない・・・のぉっ・・・!」

綺麗に笑う兄さんの顔が涙で滲む。

兄さんは・・・結構いじわるだ。








「いいよ・・・あげるからね?」

何をもらえるの?





そう思った瞬間。





「うああっ・・・や・・・痛っ・・・・痛い・・・!!」
ぐちゅりと入ってきたそれは、硬くて・・・熱くて・・・・、すごく痛くて・・・!!





「大丈夫・・・だから、力抜いて・・・・?そう・・・そうだよ・・・」


「あっ・・・・うぅ〜っ・・・・」


腰を引いては、ゆっくりと推し進める。



それを繰り返し、熱い塊はどんどん俺の中へと侵入してくる。




そして・・・。





「・・・っ・・・リーン・・・・全部入ったよ・・・・?わかる?」
「・・・・!!」


一息つくように告げた兄さんを見て、自分の中に、何が入ってきたのかを初めて悟った。




「・・・兄さん・・・・!やぁ・・・・!」
「大丈夫だから。・・・ね?リーンの中、僕がいるでしょ?」


「やっ・・・痛い・・・兄さん・・・やだ・・・抜いて・・・!」
一度、ゆっくりと大きく腰を動かすと、痛みの中にじわりとした快感が胎内に広がる。


 

「・・・ね?繋がっているでしょ?僕とリーンは、繋がっているんだよ・・・?」



大丈夫だから。



僕がついているから。





兄さんがそう口にするたびに、なぜか不思議な安心感に包まれた気がした。

今までの不安が嘘のように。




ああ、そうか。








母様はいなくなってしまったけど、俺にはビューイ兄さんがいる。

そう思ったら・・・・・・とても心強くて。





「ああっ・・・あんっ・・・あん・・・あっ・・・・・っ・・!」

「リーン・・・ここ?いいトコ、ここだよね?」
小さな入り口を広げらる激痛と、絶妙なポイントを確実に突き上げてくる激しい快感と。


両方を与えられて翻弄される。






「あっ、あっ、・・・・!あん・・・痛っ・・・!ああっ・・・・・・んっ!いいっ・・・!」


「ふふ・・・どっちなの?この子は・・・痛いの?気持ちいいの?」






ああ、痛くて気持ちいい・・・・・!
・・・夢中になりそう・・・。






「兄さん・・・兄さん・・・!」



呼べばぎゅっと抱きしめてくれる。



強く、強く。


身体をまるごと包み込んでくれる。






「今なら・・・アレイの気持ちが・・・・すごくよく分かるよ・・・」
「・・・ん・・・ん・・・?・・・なに・・・?」




何がわかるんだろう・・・?



しばらく俺に出入りしていたのに、急に動きを止められて。

ねぇ、何が分かったの・・・・・?





「リーン・・・僕以外、だれもココに入れちゃダメだよ?ここに入っていいのは、僕だけって約束して?」

「・・・あ・・・兄さん・・・・・・?」





何を言っているの?
そんなことより・・・どうしよう・・・・動いて・・・ほしい・・・。



「ね?リーン・・・リーンがこの先、他の誰を抱いても、ここは僕のモノだよ?約束して?」


俺と兄さんの繋がっているそこを、確かめるように指で撫でられる。


「ん・・・あっ・・・・・・あ・・・・」


わかった・・・わかったから・・・・お願い・・・動いて・・・・!


「リーン・・・・僕のリーンだよ・・・?」



早く・・・・・動いて欲しくて。



「うん・・・兄さんだけ・・・・兄さんだけ・・・なのぉ・・・!」
そう、ここは兄さん専用だから。




「リーン・・・・いい子だね・・・」

告げれば、兄さんは安心しように、それはそれは綺麗に微笑んで・・・なのに。



「ひっ・・・ああっ・・あっ、ああっ・・・!!」




その柔らかく美しい笑みとはうらはらに、俺を突き上げる動きはとてつもなく激しくて・・・。


「あっ、あっ、あっ、あっ!ひあっ・・!」

約束を破ることは許さないとばかりに、独占欲にまみれている気がするのは気のせい・・・?


その後も散々揺らされ、喘がされ、リズムに乗りながら、この行為がセックスだということを漠然と悟った。
















それからは、不安になると兄さんに抱かれるようになった。
気持ちよくて、安心する兄さんとのセックス。



他人と交わす性欲処理では、決して得ることのできない満たされるセックス。







そして今日も・・・・。


兄さんの部屋の前へ行くと、なんとなく察してしまう。




豪奢で厚みのある扉は、簡単には中の様子を外に漏らしはしないけど、わずかな気配で俺には分かる。



・・・・・アレイがいる。






兄さんが唯一愛している男。
兄さんを抱くことを、唯一許された男。








でも、すまない・・・アレイ。


今は、兄さんを独占させて・・・。








タイミングを見計らって、いつものように、5回、ノックした。




すると、兄さんはきっとこう言うんだ。



「どうしたの?リーン・・・入っておいで・・・?」

って。


そして、優しい声音に俺は・・・。




「・・・・兄さん・・・オレ・・・・・」

兄さんにしか見せない、兄さんだけの俺になって、
甘い甘い口づけで、今夜も甘く、兄さんにとろとろにされてしまうのだ。



END

なんとなく、意味不明な文章ですが★てへっ

★・・・相変わらず、不謹慎とか突っ込まない(-_-;)なかなか、この兄弟の濡れ場は難しかったです。

「可愛いおまえ」のように、お兄ちゃんとかがエロくて、弟も淫乱だったら(?)いいんですが、
この兄弟は少し違うので・・・。

エロいのに、生々しさのない、さらっとしたエロ・・・なのにエロい・・・って
ナニ言ってんの!?って感じですが、言いたいことが少しでも伝わったら嬉しいです。

ようは、この二人はあくまで「兄弟愛」なんです。

仲よすぎてセックスしちゃうみないな。・・・ってか、毎回×2、言い訳しなきゃならないなんて、どうよ!?