切実な願望(SS)

山野と恋人同士になってからまもなく。



最近、なにやら山野の様子がおかしい。




先日、一緒に暮らす許可を得て、
ただ今絶賛ラブラブ中であることには間違いないはずなのに、

ときおり、恋人の山野は何か思いつめたように黙り込み、
そして何かを払拭するように頭を振ってはは溜め息をついている。





三条亜月は、また自分がなにかしでかしたのだろうかと
不安になる。


(なにかあったら言ってくれればいいのに・・・)



悪いことは悪いとはっきり言ってくれるのは山野だけだ。

だから、言ってくれれば自分の悪いところは直すのに。



そう思いながら今日も、思いつめては溜め息をついている恋人を見つめた。





そんな時、山野が、
なんだか言いにくそうに声をかけてきた。


「ね、ねぇ亜月くん・・・・・その・・・」


歯切れの悪い言い方に、嫌な予感が胸を過る。



「えっと・・・非常に、言いにくいん・・・だけど・・・」

「俺、絶対別れねぇから!!」


思わず弾かれたように叫ぶ。

言いにくいことと言われて、まっさきに浮かぶのは、
「別れる」ということだ。



せっかく恋人同士になれたのに、
まだそんなに時間も経ってないのに。


二人の間には、楽しい思い出はまだそんなにない。
今からどんどんその思い出を作っていかなくてはならないのに。

それすらないまま、別れてしまうなんて絶対に嫌だ。


それ以前に亜月は、山野を失いたくない。



「・・・え?」

「俺、別れないからな!!なんだよ・・・俺の何が不満なんだよっ!」


山野の目がギョッと見開かれる。


「ちょ・・・亜月、泣かないでっ・・・ね?違うんだよ・・・そのっ・・・」


山野の言葉で、自分が涙を流していることに気付く。

たったこれだけの事で泣いてしまうほど、
亜月は山野のことが好きなのだ。



なおも歯切れの悪い山野に、亜月は何が違うんだと喰ってかかる。






「え・・・・っと・・・」


「なんだ!はっきり言えよ!」


「う〜・・・・」


「紅葉!!」




亜月のどなり声に、山野はビクリと身体を竦ませる。



「・・・・・・・・・・・・たい・・・・・」




「は?聞こえねーよ!」


「えっと・・・・」


だんだん腹が立ってきた。


「なんだよ!やっぱり俺が嫌いなのかよ!?」

「あ、亜月・・・・」


「はっきり言えったら言え!!」


「ああ、亜月くんっ・・・えっとね・・・」


「紅葉!!」



ぐっと歯を食いしばり、そして意を決したように
叫んだ山野の口からは、
想像を絶する答えが返ってきた。










「僕、おっぱい揉んでみたいんだ!!!!!!」







「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」




「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」



今、なんて言ったのだろうか。



「・・・・・・・・おっぱいって・・・・おっぱい・・・・?」


「・・・・・・・・・・うん・・・・女の子の・・・・ふわふわおっぱい・・・・・」


当の山野は、顔を真っ赤にして頷き、
そしてとうとう、恥ずかしくなったのか、
両手で顔を覆ってしまった。





「・・・・・・・俺のおっぱいじゃ満足できねーのかよ・・・・」




恋人である自分に対して、女の子のおっぱいが揉んでみたいなんて・・・。
やはり少しショックだ。



「そりゃ、亜月くんのおっぱいは好きだよ!感度だっていいし、
肌だって気持いいし・・・・でもっ・・・でもっ・・・それでも僕は、
女の子のおっぱいを揉んでみたいんだよっ!!!!!」



・・・みたいんだよっ!!!!


・・・みたいんだよっ!!!


・・・みたいんだよっ!!





山野の切実な思いが、部屋中にこだまする。





「君はさ、今まで色んな女の子とHしてさ、おっぱいなんで揉み放題だったんだろうけど、
僕は亜月くんのおっぱいしか知らないんだよ!?
ずるいよ!自分だけ!!」




ずるいと言われても・・・。



確かに、色んな胸を弄ってはきたけど、
逆切れするほどのことなのだろうか?


ぷんぷんしている山野を、少し哀れな目で見つめる。



「そんなに揉んでみたいの?」

「ああ、揉みたいね!!!」


鼻息荒く、どや顔で告げる。




「揉むって・・・俺に、乳揉ませてくれそうな女を紹介しろってこと?」

「いややや、そんな怖いこと出来ないよ!あとでなんか言われても困るし!
お金出して、そういうこと出来るお店行こうかと・・・思って・・・」





「うわ〜・・・紅ちゃん最低〜〜」


「だから言いにくかったんじゃないか!」


そうは言っているが、
一度話してしまったせいか、変な肝が据わってしまったのか、
開き直っている。



「一緒に来てってこと?」


「ん?そうじゃなくて、ただ・・・報告っていうか・・・こ、恋人の君がいるのに、
黙ってそういう場所に行くのもアレかな〜とか思って・・・それで・・・」




「・・・」


律儀なのか薄情なのか分からないが、
それがなんだか山野らしいと思ってしまった。



確かに黙って風俗に行って、
あとから領収書とかマッチ箱とか、女の子の名刺とかが出てきて、
大ゲンカするよりは、


『このような理由で、おっぱい揉みに風俗に行ってきます!』



と、前もって言っていた方が、変な勘ぐりもしなくて済むかもしれないし、
なにより男らしい気がしてきた。




でもやっぱり、恋人が他の女の胸を揉みに行くのを
見送るのもなんだか嫌な気がする。







もし、そこに、山野好みの童顔巨乳がいたとする。

わけあってそこで働いているとする。

その事情を涙ながらに語られたとする。

同情して、なんとかしてあげたいと思ったとする。


山野は金を持っている。


入れ上げる。

そして亜月は捨てられる。

そして山野も、その女から、金を散々むしり取られた後に捨てられる。




そんなストーリーがまざまざと浮かんでしまった。





これは監視が必要だ。



「よし分かった!俺も行く!!」


「へ?」




山野の目が自分以外に行かないように・・・
今さら女の乳なんかに持っていかれないように見張らなくては!!



「よかった!僕一人じゃ心細かったんだよね・・・・!ありがとう、亜月くん・・・・」


「お、おう・・・」


(うわぁ・・・・)



ものすごい満面の笑みの山野である。




そこまでして、女の乳が揉みたかったのか。


なんだか、だんだん揉ませてあげたくなってきたから不思議である。




「よし、一緒に行こうな!」

「うん!!」


二人とも、変なスイッチが入り、
風俗に行くぞ!!と、妙な意気込みを見せた。





















案の定、山野は自分の好みらしい
可愛い系のロリ顔巨乳の風俗嬢を指名していた。



鼻の穴を膨らませて、興奮した様子で、
びくびくしながら胸に触れている。

そして「おおっ・・・」となにやら感激した声を出していた。


手つきがいやらしい。

感触を楽しむように、乳房を揉みしだいている。




他のサービスもあったようだが、
山野の目的はあくまで「乳揉み」だ。






結局、時間内は、
山野はひたすら胸を揉み続け、
亜月はその様子を見守った。






支払いを済ませて店を出ると、
山野は鼻の下は伸び、
周囲に小花が飛んでいそうな程、ご満悦な様子だ。


帰る間も、デレデレへらへらしていて、
かなり不気味だった。






「・・・・で、感想は?」


マンションに着いてから感想を訊ねた。




「はい・・・・ふわふわで柔らかかったです・・・・・」

何その敬語。

今だにデレっとして、締りのない山野の顔を見ていると
だんだん腹が立ってきた。




そんな亜月に気付いたのか、
背後からいきなり抱き締められて
思いきり心臓が跳ねる。



「でも、やっぱり僕は、亜月くんのが一番好きかな・・・」




「んっ・・・・」


「たしかに、女の子のおっぱいは、柔らかくて気持ちいいけど、
亜月のおっぱいには敵わないよ?」


そのまま、胸をまさぐられて、突起をやわやわと
擦られると、じんとした痺れが湧きおこり、
立っていられなくなる。



「やっ・・・・」

「亜月、おいで」


そのまま手を引かれ、寝室へと向かう。



「亜月、怒ってるの?」


「別に」

ぷいと顔を背ける。




「・・・大丈夫。もう、二度とこんなことしないよ。
もう、亜月のことしか、こんな風に触らないから」



「あっ・・・」


服をたくし上げられて胸の突起を吸われる。



「ほら、亜月のおっぱいが一番可愛い」

「可愛い言うなっ」




ちょっと男前になったからって調子に乗り過ぎだ。

最近は、所作がだんだんスマートで、
それが様になっているから腹が立つ。


(紅ちゃんのくせに!)





亜月は、さっきの店で、
山野の担当の女を思い出す。


ああいう店は、感じていないのに、感じているふりをして客を悦ばせる。

でも、あの女は、ものすごく気持良さそうな顔をしてた。
演技なんかじゃなくて、本当に感じていて、
むしろ、声が出るのを必死に押さえていたように見えた。


だって亜月なら分かる。


山野に触れられると、どれほど気持いいか。



そして、その胸を、鼻の下を伸ばしながら揉みしだく山野。







思い出したら尚更腹が立ってきて、
思いっきり山野を睨みつける。



「・・・ゴメン、僕には亜月だけだよ・・・・」

「当たり前だ!」



こんな変態を受け入れてあげられるのは俺だけで十分だ。
そう思いながら亜月は山野に口付ける。




「今日は俺がお前をお仕置きするからな!覚悟しろよ・・・」


ニヤリと笑ってみせると、


「へぇ・・・それはそれは楽しみだね」

さらにニヤリと不敵な笑みを浮かべる、
牡臭い山野の瞳に捕まってしまった。


この瞳に捕まると、もう逃げることはできない。

キュンと胸が弾む。

(ああ、やっぱり俺、こいつのこと・・・大好きだ・・・・!)











もうすぐ冬休みも終わる。

山野の変貌ぶりに、周囲の女子も寄ってくるかもしれない。




亜月は、山野が他所へいかないように、
自分の身体だけに溺れるように、
お仕置きという名の奉仕を開始した。





番外編「それは何と呼べばいいのか」へ




実はこのネタは、かなり初期の段階で浮かんできたネタで、(3を書いている頃くらい)
書きたくて書きたくてしょうがなかったんです。

やっと書けて満足です(*^。^*)

そうですよね!巨乳好きなら一度は揉んで揉んで揉みまくってみたいですよね!

そんな山野の心の叫びを実現できて、楽しかったです(*^。^*)風俗のことはよくわからないので、
その辺りの描写は適当にはぐらかしておきました・・・・。


2013/03/23