ゆずれないモノ 3




セフレになってほしい。

この言葉を告げるのに、どれほどの勇気を振り絞ったことか。

当の山野の表情は乏しく、不承不承といった感じだったが、
ひとまずは承諾してくれた。

散々悩んで出した結果がこれだ。
あれを手放すなんて、ぶっちゃけもったいない。




だってあの快楽には逆らえない。

そしてそこに、相手がキモヲタというのがまた、
逆にスパイスとなっていて、
まるで穢されていくような錯覚にすら快感を覚える。


恋人になるのは勘弁だけど、
身体の関係はやめたくない。


亜月の身勝手な主張を、
山野が飲んでくれたのは幸いだった。





帰り道、他の人に見つからないように、
距離をおいて山野の後をついて行く。

大学から少し離れたところで周囲を窺いながら
意外に足の速い山野に必死に近づいた。



後ろからしげしげと山野の身体を見つめれば、
意外に背が高いことに今さら気づく。

なんとなく猫背気味だし、
ちょっとガニ股で姿勢が悪いせいか、
背が高いというイメージがない。

でも思い返せば、
あまり目線を下げずに話していたような気がする。


(もっとちゃんとすれば、少しはマシになるだろうに・・・)


そう思いながら、目の前を歩く男の後をついて行く。

途中コンビニに寄り、
恥ずかしくて買えない、という山野に代わって、
亜月がコンドームとジェルを買い、
そして、ビール数本は山野に買わせてマンションに向かった。






前に来た時は気を失っていたので分からなかったが、
洒落た外見の、家賃の高そうなマンションで、
以外に自分のマンションと近いことに気づく。


中に入ると、
ゆとりのある玄関に廊下が続いていて、
途中に独立した洗面所にバスルームとトイレがあり、

廊下を抜けると、広めのリビングダイニングキッチン、
そして奥に部屋が二つあるようだ。

間取りは想像するに、2LDKといったところか。

べたべたとアニメのポスターや、
フィギュアなどが飾られているのかと思いきや、

白とベージュを基調に、
グリーンをアクセントにした意外とシンプルな
センスあるインテリアにまとめられていて、

窓のそばに置かれてある大きなモンステラが
相当な存在感を放っている。


ゴテゴテのおオタク部屋を想像していただけに拍子抜けするが、
奥の部屋のうちの一つは趣味部屋になっていて、
亜月の想像通りの空間が広がっているらしい。



リビングでテレビを見ながら、途中で買ったビールや
山野が適当に作ったつまみを食べるが、
会話は続かず、何を話していいのかわからなかった。


どうでもいいアニメの話を力説させれても困るし・・・。

要は、山野とヤルことヤレればそれでいいわけで、
いい雰囲気を作ってやろうとも、作ってもらおうとも思わない。

気持ちがよければそれでいい。

でもこの沈黙は流石にいたたまれない。





「・・・君から先にシャワー浴びる・・・?」

気まずい空気を先に破ったのは山野だった。



こちらを見ずに、TVを見たままそっけなく言われたが、
いつものポーカーフェイスの山野の顔が、
少しだけ紅くなっているような気がした。

「・・・あ、ああ、そうさしてもらうわ・・・」


飲み残しのビールを一気に呷り、
そそくさとバスルームへ向かう。
・・・妙に緊張する。

独り暮らしの男の部屋で、
その男とセックスをするために
シャワーを浴びる日がくるなんて・・・・。

言いだしっぺは自分だが、
ふと、何やってんだよ俺・・・・なんて思ってしまった。

でも、
今さらやめるつもりもないし、
やっぱりあの快楽は捨てがたい。


バスルームに入ると、
かなり清潔にされていて、
やっぱりグリーンの小物で統一されていた。

カエルの洗面器にカエルのバススポンジ。
グリーンのネット・・・。



・・・カエルが好きなのだろうか・・・。

棚にはボディソープが4つも置かれていて、
亜月も見たことのある有名なショップのものだった。

グレープフルーツにラベンダー、デューベリーにホワイトムスク。
その時の気分に合わせて香りを選んでいるらしい。

「意外と小洒落たことしてんだなぁ・・・」

こういうセンスを、
何故ファッションに生かせないのか、
亜月にはそれがとても不思議だった。


そしてその中から、
なんとなくホワイトムスクの香りを選んで、汗を流していく。

山野に抱かれるために。




バスルームから出ると、山野がビールを渡してくれた。
腰にバスタオルを巻いたまま、風呂上りのビールで喉を鳴らす。


「右の部屋だから・・・寝室・・・」

そう言って、入れ替わりで山野がバスルームに向かい、
シャワーの音がしてくると、
それが妙にリアルでさらに緊張してきた。

それをほぐすためにも酔ってしまいたい。



(うわ・・・なんか・・・すげぇ恥ずかしい・・・)


初体験のときだって、ここまで緊張はしなかったのに。

寝室のドアを開けるだけなのに、
心臓が破裂しそうな程ドキドキしている。

なにしろここは、以前自分が犯された部屋だから。

意を決してドアを開けると、そこは6畳ほどの空間で、
セミダブルベッドにパソコンデスク、
そして、前は気づかなかったが、
ここにもテレビが置いてあった。

(・・・こいつ、何気にいい暮らししてるよな・・・。金持ちそうには見えないけど・・・・)

寝室は意外にも、ダークブラウンの家具で統一されていて
とても落ち着く空間になっている。


テレビをつけて、ソファの変わりにベッドに腰掛け、
ビールを呷りながら山野を待つ。

しばらくして、カチャ、と、バスルームのドアの開いた音に、
驚くほど心臓が跳ねた。



首にタオルを掛けて部屋に入ってくる山野を見て、ギクリとする。


身体の厚みから、勝手に小太りだと決めつけていたが、
山野は予想に反して筋肉質で、
鍛えられた身体は想像以上に逞しい。

Aカップの女の胸よりも盛り上がった大胸筋に、
ついつい目がいってしまう。


タオルで髪を拭き上げ、首筋から鎖骨にはらりと零れ落ちる長い髪に、
不覚にも色気を感じてしまった。



「目が見えない・・・眼鏡、どこ置いたっけ・・・・」

「ここに・・・」

キョロキョロと眼鏡を探す山野にそれを渡す。


「・・・お前、なんか、運動してんの?」
「え?なんで?」


「いや・・・別に・・・」

なんか悔しくて、それ以上は聞くのをやめてしまった。



また会話が途切れて、
テレビの音だけが響く空間が気まずかったが、
今度沈黙を破ったのは亜月だった。




「カ、カエル、好きなのか?」

「・・・いや、そういう訳じゃないけど、
緑のモノを集めようとしたら、自然にそうなったというか・・・」

葉っぱ系を探したけど当時は見つからなくて、
いつのまにか、カエルグッズが増えていたのだとか。

最近、葉っぱグッズが店に増えてきたが、今さら買い換えるのもね、
と、悔しそうに山野はつぶやいた。

そういやこの頃、巷では
やたらモンステラのモチーフのグッズを見かける気がする。


「ボディソープとかも凝ってんのな」

「ああ、あれは妹だよ。たまに泊りにくるんだけど、
実家の方はね、まだたくさん色んな香りが置いてあって、
母さんがぼやいてるよ。」

「えっ、妹いんの?」

この顔の妹かよ・・・と思っていたら、

「妹はね、親父に似て意外と美人なんだよね。
母さんや僕に似なくてほんとによかった」

心を読まれたのかと思ったが、
父親に似て美人ということは、
母親は山野みたいな顔ということなのだろか。

気の毒だか、逆に見てみたい気もする。




「三条くん、ビールは?」

「あ・・・飲むよ・・・」

山野は、新しいビールを亜月に渡すと、
少し間をあけて亜月の横に腰を下ろした。


さっきまでいい感じの会話が嘘のように、
またぷつりと途切れてしまう。



山野からは、グレープフルーツの香りが漂ってきて、
思わずうっとりとその香りを吸い込む。



風呂上りの独特な雰囲気のせいなのか、
ビールで酔ってしまったせいなのか、
最初は気まずかった沈黙もだんだん気にならなくなってきた。



もうTVの音声は亜月の耳には入らない。



まっすぐ前を見据えているが、
横に座る存在に意識が奪われていく。




横目に山野を見ると、本当に無駄な肉がなくて惚れ惚れする。

・・・身体だけは。


この身体に、今から組み敷かれると思うと、
だんだんたまらなくなってきた。


さっきからドキドキがとまらず、
そして、緊張はムラムラにすり替わって、
気がつくと自分から山野を押し倒していた。




「え!?・・えとえと・・・三条く・・・・ん!?」


動揺している山野に構わず、その唇をキスでふさぐ。

「んっ・・・んんっ・・・!」

角度を変えて、舌を絡めていく。
下唇を甘がみして、唇が触れるように甘く囁いた。


「・・・こないだ、俺が寝てるときに、キスはしなかったの・・・?」

自分でも、驚くほど声がエロく掠れていて、
山野は真っ赤になって、してない、と、
うわずりながら首を横に振った。


「じゃ、キスは今日が初めてなんだ・・・・」
うんうんと、今度は縦に首を振る。

うろたえる山野が可愛くて、
なんとなく自分が主導権を握ったような気分になって、
良い気分でキスを深くしていく。

微塵も気持ち悪いとは思わなかった。


むしろ、もっと欲しくてたまらなくなり、
厭らしい音をたてて、山野の舌を自分の口内に導き
存分に吸い上げた。


鼻から漏れるくぐもった息と
粘膜をむさぼるような水音が響き、
キスの合間に山野が囁く。


「亜月くん・・・もっとキスの仕方、おしえて・・・?」

ふいに呼ばれた下の名前に、予想以上に心臓がはねた。

低く響くような声に頭はしびれ、
亜月は思わず、いいぜ、と呟いた。


「こう・・・?」

「んっ・・・ふっ・・・」

(やばい・・・やっぱりこいつ・・・上手い。)

もともとが器用なのだろう。
すぐにコツを掴んで、亜月の口内の性感帯を次々と暴いていく。

「どう?こうれでいいの・・・?」

「あ、ああ・・・」


いつの間にか体勢を入れ替えて、
山野が覚えたての深いキスを仕掛けてきた。

「んっ・・・」

舌を絡ませ、くまなく口内を舐めまわされ、
上あごに触れられるとビクんと身体が震えた。

山野は、人より若干舌が長い気がする。
それが亜月の舌を絡め取って、感じる部分をくまなく愛撫していく。

教えたのは自分のはずなのに、
さらに亜月よりも巧みなキスを施されて、
だんだん溶かされていく。



「山野・・・眼鏡当たって邪魔・・・」
「あ、ごめん・・・」


なんとなく主導権を奪われそうな気がして、
気を反らそうと眼鏡を外してやったが、
それをすぐに後悔した。


レンズを介さない、鋭い視線は、
亜月に直接突き刺さる。

思っていた以上に、山野の眼は切れ長で、
その眼に見つめられると、
なんだか肌全体がざわざわとして気が気じゃない。

視力が悪いせいで、じっと眼を見つめるためか、
その視線は瞳の奥に食い込み、
まるで肉食獣に狙われたような気分になる。


きゅん、と身体の奥がうずいた。



早くアレをしてほしい。
そう思って視線を下へずらすと、
山野のモノが、腰に巻いたバスタオルを押し上げていて、
亜月は邪魔だとばかりにその布をはずして放り投げた。




だけれども、目の前に飛び込んできたそれにぎょっとする。


ちょ・・・

ちょっと待て。
マジデスカ!?




え・・・!

ウソダヨネ?




いざ、正気のまま向き合ってみると、
見慣れた立派なはずの自分のサイズよりも
はるかに大きい。


自分の尻に挿っていたくらいだから、
正直、たいしたことないサイズだと思いこんでいただけに、
その衝撃は大きかった。


自分のモノに自身はあるし、
実際、結構なサイズだし、形もカッコいいと思っているし、
よく褒めてもらえるし悦んでもらえる。


ただ、なにがショックって、
オタクのが自分のよりデカイとか、そんなことじゃなくて。


なにより、
なによりも、

コレが今から自分の中に挿ってくるのかと思うと、
怖くて思わず腰が引けてしまい、
火照った身体は一気に冷めていく。



「僕のって・・・そんなに変・・・?」

「イ、イヤ・・・ソンナコトナイヨ!リ、リッパダヨ・・・!」

青ざめた亜月の顔を見て、山野が不安げな表情を見せる。


「でも顔が強張ってるよ・・・今日はやめる・・・?」
「や、やるよ!」

自分から言い出しくせに
怖がっていると思われるのも癪だ。

「だ、大丈夫だから・・・」

そう告げて、安心させるように山野に口づけたら、
お返しとばかりに山野から深いキスが返ってきた。


本当に上手い。
初めてのくせに、亜月はキスだけで
心も身体もとろとろにされていく。


冷めたモノが一気に上昇し、亜月も思わず夢中になる。




「亜月くん・・・怖くない?でも大丈夫・・・。優しくするからね・・・・」

さんざんキスをむさぼったあと、口を開いた山野がそう告げたが、
何かのスイッチが入ったのか、山野の口調は変わっていた。


どうやら山野は、
セックスのときは何かのキャラになりきるのか、
性格がガラリと変わる性質らしい。


そう言えば以前も、お仕置きがどうとか、
ご主人様がどうとか言っていたのを思い出した。




「ね・・・僕のこと思い出して、ココ・・・独りでいじったりしたの・・・・?」
「ね、ねーよ!」

だ・・・誰だよこいつ・・・!
急にエロくなりやがって・・・。


急に色気全開の山野に、百戦錬磨のハズの亜月も焦る。

キスのテクも身につけて、
目つきも変わり、欲情の色が滲んでいて、
視線だけで亜月の身体を火照らせる。



「んっ・・・・」


山野の口付けが、唇から耳元へ移動する。

触れるか触れないかの絶妙な加減に、
ぶるっと身震いするほどの快楽がこみ上げる。

「な・・・お前さ、ほんとに童貞だったの・・・・?」


「そうだよ・・・亜月くんが食べちゃったけど・・・」
「あっ・・・」

その唇は首筋へと移り、舌が亜月の官能を煽り、
やっぱりぞくぞくする。


「そういえばこないだは、おっぱい触らなかった・・・」
思い出したように呟いて、そしてエロい瞳で亜月を見つめる。

「ねぇ、吸っていい?」

改めて聞かれると、とんでもなくこっ恥ずかしくて、
いいともダメとも言えず、答えられずに逡巡していると、
それを承諾と受け取ったのか、
山野の舌が、亜月の胸の突起に絡みついた。

「あっ・・・・んっ・・・」

膨らみのない胸まで揉みしだかれて、
空いてる方の胸の突起を、きゅ、とつままれば、
鋭い快感が身体を突きぬけていく。


それを繰り返されると、
さっきから反応している下半身がズキズキと疼き、
そこへ山野の長い指が絡みついてきた。


「あっ!」
先走りを塗りこめるように、先端を円を描くように刺激される。

「やっ、山野っ・・・!」

ビクビクと身体が痙攣し、
先端からどんどん体液が溢れ、
山野はその液の滑りをかり、亜月を全体的に優しく扱き上げる。

「あっ・・・」

くちゅ・・・という音が恥ずかしいが、
やっぱりしてもらうのは最高に気持ちいい。

自然に息が上がり、自然に腰が動く。
こんなに奉仕されていいのだろうか。



山野はコンビニで買ったコンドームと潤滑剤を取り出すと、
潤滑剤をわざと鈴口を狙うようにして
亜月の勃起に上から大量に垂らす。

「つっ・・・めたっ・・・!!」
「でもすぐに、あったかくなるんでしょ?」

ぐちゅぐちゅと音をたてて、再び山野は亜月のそれを扱き上げた。

「やぁっ・・・やめ・・・・」
「やめる?」
「だめっ・・・・」

緩急つけて扱かれて、
それはまるで、亜月の感じるポイントを
知り尽くしているように蠢く。

山野の表情を窺えば、悦がる亜月を面白そうに見下ろしていて、
その支配者のような表情に、
もっと蹂躙されたいという欲求がわいてくる。



「いっやっ・・・!あっ!」
亜月の秘部に、山野の節くれだった指が
遠慮なく挿入された。

潤滑剤のおかげでそれほど痛みを伴うことなく、
予想以上につるりと挿ってしまい狼狽する。


その指は2本に増え、
くちゅくちゅと厭らしい音をたてながら
徐々にそこが溶かされていくのが自分でも分かった。

亜月自身と入口を同時に愛撫されると
堪らない疼きがこみ上げる。


「いや・・・それいや・・・ケツ・・・ぞわぞわする」

「これをしないとね、君がつらいからね、我慢しようね」


指が何度も挿入される音と感触が生々しい。
たしかにあの時、深々と挿入されていたの思い出す。

山野のアレが挿るには、
それなりの準備をしなくてはならないようだ。


その、山野が挿ってくるための準備だと思うと、
腹の奥と、なぜか指先にキュンキュンきた。

「そろそろかな・・・」
山野が呟きながら、
念入りに解されたそこから指を引き抜く。

「僕、生でコンドーム見るの、初めて」

コンドームを袋から出して、
グニグニと感触を確認しながら
しげしげと見つめている。

「俺がつけてやるよ」


たまに自分が女からしてもらっているように、
山野からそれを奪って、ペニスの先端に被せたが

「・・・アレ・・・・?」
「いてて・・・!」

巻いてある部分を引き下げようとするが、
山野のサイズでは入らないらしい。
無理に入れれば入らなくもなさそうだが、
痛がるのでやめた。

結構な弾力があるので、
そこそこの人まではOKなハズなのに、
流石というべきか。

羨ましいを通り越して関心してしまった。


「ラ、ラージサイズの方がいいのかもな、お前・・・」
「へぇ・・・サイズなんてあるんだ・・・どうしよっか・・・?」

どうしようかと聞きながら、
山野は亜月の入口にすでにペニスを押し当てて、準備万端だ。

「どうする?やめる?それとも・・・・」

「あっ・・・やま、のっ・・・!」

「このまま挿れていいの?」
「ああっ・・・!」

いいのかと聞いておきながら、
返事も待たずに、そのまま一気に潜り込んできた。

「ふふ・・ねぇ亜月くん・・・挿れていいの・・・?」

「ばっ・・・もう挿ってんじゃねぇか・・・!
まだ・・・いいっつってねぇ・・・のにっ・・・」

圧迫感の凄さもさることながら
山野のキャラの違いにも一驚を喫してしまう。


「うん、もう挿いっちゃったねぇ」
「あっ・・・ああんっ」


みっちり埋め込まれて、
長大な熱が粘膜に摩擦を開始すれば、
じわぁっ、と引き連れるような快感が全身に広がる。



「やっ・・・あっ・・・」
「ねぇ、動いていいの?」
「ま・・・待てっ・・・ああっ」

すでに開始されている律動に、
抗議は阻止されてしまう。

(もう動いてんじゃねぇか・・・!)


挿っているだけでも気持ちいいのに、
中で動かれるとそれはもう堪らない。


男に征服されてこみあげてくる充足感。

(ああ、やっぱり俺、Mだわ・・・・)


ぞくぞくしてくる。

もしかしたら、
ものすごく身体の相性がいいのかもしれない。



「あっ・・・あっ・・・」

山野が動くたびに声が出てしまう。

やっぱり腰の動きは絶妙で。



「はぁ・・・っ、亜月・・・気持ちいいよ・・・」

「やっ・・・あっ!」

不意打ちにも山野から、下の名前で呼び捨てられると、
それは想像以上にダイレクトに下半身に響き、
さらに中が疼いた。



明るい部屋で大股広げて
快楽をむさぼる。

声を我慢できないほどの快感。

・・・やっぱり山野がいい。


今でもこんなに上手くて気持ちいいのに、
もっと上手くなったらどうなるのだろう。


もし山野に女ができたら、
その女にこの快楽を与えて喘がせるのだろうか。


「痛っ・・・・」

思わず山野の背中に爪を立てる。


「・・・こら、亜月・・・悪い子だね・・・」

ぐっと低くなった山野の声。
でも、その声は亜月を高ぶらせていく。

「ああっ・・・あっ、あっ」



普段の他人に無関心な山野からは
想像がつかないキャラの変わりよう。

まるで前と同様、お仕置きでもするかのように
巧みな腰つきで亜月を抉る。



「いっ・・・あああっ!」


亜月だけが達し、山野はまだ亜月の中で脈打っていて、
敏感にとろけて巻きついてくる襞を、
強引に掻きわけながら突き上げては引いていく。



快感が強すぎると、
自然に声は細く高く短くなるということを
改めて痛感する。

亜月は嬌声を上げながら、
山野から与えられる快感を存分に味わいつくした。





「やまの・・・もういっかい・・・」
思っていたよりも甘えた声になる。

女から言われると嫌だったセリフを、
思わず口にする自分が滑稽だった。


ベッドからなかなか出ていかない女は
うっとうしいと思ってたけれど、
今なら、そんな女たちの気持がよく分かる。


当の山野は相当スタミナがあるのか、
触れてみると、既にカチカチになっていて、
思わず口元が、にんまりと緩む。


「山野・・・」

綺麗に微笑んで、山野を呼ぶと、
亜月を見た山野がごくりと唾を飲み込み、
その猛りが、さらに角度を上げていく。


嬉しくなった亜月は自分から上に乗り、
自ら山野の猛りを呑みこんだ。


「あんっ・・・」

本当に、挿ってくるだけで気持ちいい。

喘ぐ姿も様になってきた自分に内心苦笑するが、
そんなことより、今は目先の快感が先だ。


「今度は俺が動くから・・・・覚えろよ、動き・・・」

唾を飲み込む山野の喉仏の動きに、心臓が高鳴る。


硬い山野を、
自分の感じる部分へ当たるように腰を揺らし始めた。

「あ・・・亜月っ・・・!」

亜月の動きに山野もまた感じているらしく、
呻く声が酷く色っぽい。


やっぱり自分で動くのもいい。

征服されて、突き回されるのも堪らないけれど、
こうして、自分本位に相手を翻弄するのはやはり悪くない。



「め・・・眼鏡・・・掛けたい・・・亜月の顔、見たいよ・・・」
「だめ・・・・」


自分のリズムを山野に送る。
好きなところに硬いのを擦り当てて、
奥深くまで呑み込んで。



「ふふ・・・どう?山野・・・・」
「いい・・・よ、亜月・・・」

「あっ・・・!」

山野の両手が亜月の尻を揉みしだき、
下から山野も突き上げる。



山野を見下ろせば、
あれほど不気味だと思っていた長い髪が、
シーツに広がっていて、
それが異様に色っぽく見える。

どんどん興奮していく。



「あ・・・つきっ・・・!」
「んっ・・・ああっ・・・!」

何度目かの山野の熱が亜月の中を満たしたが、
それでも足りずに催促する。



とんだ淫乱だと自分を罵るが、
再び硬質さを増す、相変わらずの山野の絶倫さにも舌を巻く。


「ああっ・・・!」

抜かれることなく再開された突き上げに、
亜月はぺろりと舌舐めずりを見せ、


うっとりと眼を閉じ、
山野から与えれる快感にひたすら酔いしれた。





4へ

実は、亜月はドMで淫乱で、山野はHの時、性格が変わる・・・こういう系の設定が好きなんです(*^_^*)
やっぱり文章での表現って難しい・・・。でもそれが伝わっていればいいな〜。


2012/11/9